加齢で変わるのは記憶の仕方

100才の人が99才のときのことを思い出すのは、10才の子どもが9才のときのことを思い出すのとはまったく別ものです。それと同じように、50才の人が新たな事柄を学び記憶するのと、20才の青年が新しい情報を記憶するのとでは大きな隔たりがあります。

しかし、一般的に信じられているように、記憶力は年齢とともに衰えるという考え方は正しくはありません。記憶力は年齢とともに確かに変化はしますが、衰えるのではなく、変質しているのです。

年齢によって背負うものは大きく異なる

子供は大した責任も持たず多くを記憶することが期待されているわけではありません。過去を思い出す能力に優れてはいても、情報を分類する能力はありません。重要なこととそうでないことの区別をする判断能力がないため、単に詰め込むだけで、すぐに覚えるものの、一方であっという間に忘れていきます。

子どもの頃の記憶をたどると、ある特定の場面についてはよく覚えているものの、その他の部分については、全く覚えていないということがよくあります。たとえば、遠足などのように楽しい事柄については強く記憶し脳に刻み込むため、詳細なスケジュールもふくめてよく覚えているものです。

しかし、大人はより多くの情報にさらされます。会社の中でも若い人と年をとった人では責任が違います。偉くなればなるほど、処理する情報量は多くなるのです。その結果、あたらしい情報を学ぶスピードは落ちますが、その分、覚えてしまったことを忘れることが少なくなります。重要な情報と重要でない情報とを瞬時に分類し、頭の中で整理して記憶しているのです。若い頃には手帳を見なくてもスケジュールがわかったのに、年をとると何度見てもすぐに忘れてしまうのは、スケジュールがさほど重要な情報ではないことを知っているからです。

記憶のライフサイクル

年齢とともに肉体の変化が起こりそれが記憶力にも影響を及ぼします。女性ホルモンのエストロゲンは脳内での記憶処理と深い関係にあります。そのため、エストロゲン値が低くなる、月経前後には女性の記憶力が低下すると言われています。アルツハイマーなどの加齢と関係のある脳の病気は、明らかに記憶力を低下させます。

40代、50代になるとほとんどの人が、新しい記憶を蓄積する能力の衰えを感じますが、一方で遠い過去のできごとを鮮明に思い出せる能力が磨かれてきます。記憶に関する脳の力の発揮の仕方が変わってくるのです。記憶術を高めて脳の力を活性化させておき、あいまいになった記憶を知識と経験で埋めることで、年齢を重ねても記憶力に自信を持ち続けることができるようになります。

子どもは、友だちの好きなゲームの詳細を覚えていても相手の名前を忘れている、ということがあります。大人はゲームを覚えていなくても相手の名前は覚えます。情報の価値を知っているのです。役に立つ情報を有機的に記憶することで、いつまでも衰えない記憶力を保つことができます。

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