意味記憶とエピソード記憶

記憶の属性には、「意味記憶」と「エピソード記憶」があります。より単純な意味記憶は忘れやすく、エピソード記憶は忘れにくいものです。つまり、エピソードをつけて物事を覚えると、自然と記憶は豊かになってきます。

長期記憶の中には、「意味記憶」と「エピソード記憶」と呼ばれる2つの属性があります。簡単に言えば、単純な「知識」の記憶が意味記憶で、「物語」を伴った記憶が「エピソード記憶」です。特にエピソード記憶は強烈で、脳もなかなか忘れることがありません。つまり、ある物事を何かのエピソードに絡めて覚えると、忘れにくくなると言えます。

意味記憶

意味記憶は、生まれてから学習するすべてに対する記憶を指します。赤ん坊が最初に覚える言葉(母語)も意味記憶の1つです。また、学校で勉強をして覚える各教科の知識も意味記憶です。「覚えよう」と考えて取り組まなければ記憶は難しく、一般的に「記憶力」という言葉はこの意味記憶に対して使われています。

この記憶力を単体で鍛えるのは困難なので、エピソードと絡めたり、「リピート法」を使うことで訓練していかなければなりません。

エピソード記憶

1972年にタルヴィングという心理学者が提唱したエピソード記憶は、個々の経験・体験の記憶を指します。特に覚えておこうと思わなくても、自然に脳に蓄積されているのがこのエピソード記憶です。

この記憶は、すべての記憶の中でももっとも忘れにくいという特徴があります。例を挙げるならば、たとえば、大学に入学すれば受験勉強の内容はすっかりと忘れてしまいますよね。しかし、そのとき味わった苦しみや喜びの体験は絶対に忘れることがありません。これも、意味記憶よりエピソード記憶の働きが強いことを証明していると言えるでしょう。

つまり、すべての物事にエピソードを絡めると、かなり記憶が濃くなるわけです。

人と喋ったり音楽を聴いたりしながら行った勉強が意外に身についているのも、このエピソード記憶が働いているから。ちなみに、幼い頃の記憶をほとんど忘れてしまうのは、エピソード記憶の能力が後天的なもので、成長と共に発展していくからだと言われています。

意味記憶に具体的なエピソードが加わると、記憶は自然と豊かになっていきます。たとえば、ちょっと変わった方法で勉強したり、変わった場所で会議をしたりすると、環境による刺激がエピソードとなって、意味記憶と同時に脳に焼き付けられていきます。記憶力を磨きたければ、意味記憶をエピソード記憶に「物語化」する工夫が必要とされるわけです。

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