トレーニングのついでに知っておきたい記憶遺産のこと

"世界遺産"と聞くと、世界中の著名な見どころのイメージが頭に浮かびます。アンコール遺跡群・ウユニ塩湖・ベニス……。誰もが感動する光景ですよね。しかし、世界遺産とはこのように壮大に目の前に広がるものだけではありません。

"記憶遺産"と呼ばれ、人類にとって重要な記憶を遺産として残しておく取り組みがあるのをご存じでしょうか。人類が記憶に残しておかなければならない遺産、"記憶遺産"についてご紹介します。

記憶遺産ってなに?

記憶遺産とは、ユネスコによる事業のひとつで、後世にとって必要な記録物を保存・利用する活動のことです。"記憶遺産"という名前がついていますが、"人々の記憶"などの目に見えないものを扱うわけではありません。あくまで対象となるのは、ある歴史的な出来事の記録物です。これは、単にものごとの内容が記録されていればいいというわけでもありません。記憶遺産は、その内容に信ぴょう性があることを、世界中から証明されるものでなくてはなりません。そのため、審査は世界遺産と同様に厳しいものとなっています。

"記憶遺産"という日本語の表記は、イメージの面で人を混乱させてしまうかもしれません。実際の記憶遺産は、"記憶"というより"記録"の側面が強いといえます。そのため、中には"記録遺産"の方が適切だという意見もあります。実際に、韓国語では"記録遺産"にあたる言葉選びがなされているようです。

記憶遺産には何が登録されているの?

記憶遺産には、どんなものが登録されているのでしょうか。なんだか難しそうに見えますが、実は私たちのよく知っているものも記憶遺産として認められていますから、少しだけ覚えておきましょう。

子どもの頃に『白雪姫』や『赤ずきん』の物語を読み聞かせてもらったことはありませんか。あるいは、ディズニーから映画化され、人気を博した『ラプンツェル』をご存じないでしょうか。これらの物語は『グリム童話』に収録されたものです。この『グリム童話』は記憶遺産に登録されています。

また、アンネ・フランクによる日記『アンネの日記』も記憶遺産のひとつです。世界的に有名な文学作品ですから、学校の図書室にも必ず置いてあったはず。アンネはユダヤ系ドイツ人の少女です。第二次世界大戦におけるユダヤ人迫害から逃れる家族の様子を、少女らしい飾らない視点で語ってくれます。

年末になるとコンサートホールへ足を運んで"第9"を聴くのが恒例――そんな家庭はなかなか少ないかもしれませんが、TVで演奏される第9を聴いたことくらいはあるかもしれません。曲名を知らなくても、誰でもどこかで耳にしたことがある曲ではないでしょうか。この"第9"ことベートーヴェンの「交響曲第9番」の自筆楽譜も、記憶産に登録されています。

少しとっつきにくいように感じる記憶遺産ですが、実は私たちの身近にある記録物もたくさん含まれています。

あなたもこれを機に、世界の記憶遺産について調べてみてはいかがでしょうか。今回は、記憶にまつわるものについて考えるために、記憶遺産をご紹介しました。記憶のトレーニングをするついでにぜひ、世界の重要な文化財についての知識を増やしてみてください。

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