味覚の記憶があなたの好き嫌いを制する!

“おふくろの味”という慣用句があるほど、小さい頃から食べ続けた手料理の味は、大人になってからも忘れられないものです。進学や就職などを機に親元を離れて料理をするようになった人は、自分の料理と“おふくろの味”の記憶がまったく違うのに驚いたことがあるのではないでしょうか。このような味覚と記憶の関係について考えてみましょう。

好きな食べ物と記憶の関係

あなたには好きな食べ物がありますか。母親の手料理の味、たまたま足を運んだビストロで感動した料理の味、一度食べたら忘れられないほど美味しかった食べ物の記憶は、誰にでもあるでしょう。実はこれらの“好きな食べ物”は、味の記憶によって成り立っています。私たちは、これまでに食べた食べ物の味をきちんと記憶しています。だからこそ、好き嫌いといった食べ物の好みが生まれるのです。つまり、私たちがさまざまな食べ物を味わえるのは、これまでに経験した味の記憶のお陰だといえます。

フジテレビのオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』で放送された「海亀のスープ」というドラマは、味覚と記憶についての興味深い内容を描いています。海亀のスープは、“昨夜、一緒にスープを飲んだ者が自殺した”という事実から、物語の全容を推理してゆくタイプのドラマで、今では有名な推理ゲームの題材として広く知られています。この「海亀のスープ」で、副主人公の男性はレストランで出された海亀のスープを飲むのですが、その味が記憶していた味とまったく異なるのに違和感を抱きます。この“味の記憶”の違いは、やがて男性を苦悩に陥れ、ついには自殺へと追い込むきっかけとなってしまうのです。

味の記憶といえば、“おふくろの味”のように「あの頃の味と一緒だ……」と思い出して懐かしみあたたかい気持ちになるようなイメージがありますが、このドラマでは「あの味と違う……」という記憶の違いが悲劇を生むことになったのです。

食わず嫌いは世界を狭める?!

私たちの食べ物の好みは、味の記憶からできています。さまざまな食べ物を食べて、幅広い味の経験を蓄積することによって初めて、私たちは好きな食べ物を見つけてゆくのです。したがって、食わず嫌いの人は、何でも食べる人に比べて味の経験が乏しくなりますから、それだけ好きな食べ物も見つかりにくくなるといえます。

たとえば、まだ味の記憶の少ない子どもの頃から、スナック菓子やファーストフードなどの同じものばかりを食べて過ごしてしまうと、味の記憶が少ないまま成長してしまうおそれがあります。もちろん、スナック菓子やファーストフードには美味しいものがたくさんあります。しかし、将来の可能性を広げるためにも、さまざまな食べ物に挑戦し、好きな味の記憶をたくさん蓄積したいところです。味の記憶が少なければ、それだけ楽しめる味の世界も狭くなってしまうでしょう。

人は味覚を記憶し、蓄積された記憶によって好きな食べ物・嫌いな食べ物の判断ができるようになります。味の記憶の少ないまま成長すると、楽しめる味の世界が狭くなってしまいますから、お子さんをお持ちの方はお気をつけください。

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