「記憶にございません」はなぜ使われるのか?

今や誰もが知っている言い回しである「記憶にございません」。一時、流行語となったこともありますが、流行が去ったあとでも時々、TVなどで見かけることがありますよね。「記憶にございません」の流行を知らない世代は、この言葉がどのように発祥したのかも知らぬまま、何となく聞き流してしまっているのではないでしょうか。

「記憶にございません」という言葉は、どうして流行語となったのでしょうか。重ねて、「記憶にございません」という言葉の現在についても考えてゆきましょう。

「記憶にございません」の発祥

そもそも日本で初めて「記憶にございません」を使い始めたのは、実業家でした。現在では政治家が使っているイメージがありますが、一番初めは実業家だったのですね。この言い回しが注目を集めたのは、1976年に起こったロッキーロード事件でのこと。答弁をする実業家が「記憶にございません」を何度も繰り返したのをきっかけに、流行語となりました。その後、「記憶にございません」は「覚えていません」などと形を変えながら、現在までさまざまな人に使われています。

ちなみに、「記憶にございません」の発祥はアメリカだと言われています。英語では"I don't have any recollrection about that"と表現され、裁判の時に使われるのだそうです。これが日本でも取り入れられた結果、「記憶にございません」のルーツとなりました。

現代でも使われる「記憶にございません」

「記憶にございません」はそれからも、数多くの人に使われてきました。2016年にも議員が口にしたことで、ふたたび話題にのぼったこの言い回し。一体どうして、人は「記憶にございません」を使うのでしょうか。

それは、"「記憶にございません」は偽証罪にならない"ということがポイントとなっているようです。偽証罪とは、大まかに言うと、読んで字のごとく"嘘の陳述をする罪"のことです。たとえば、"やってしまったこと"について「私はやっていません」と証言をすると、それは嘘にあたります。しかし、ここで「覚えていません」と証言をすることは、嘘ではありません。"やってしまったこと"を"やっていないこと"に塗り替えてしまうのは嘘ですが、"やってしまったこと"を"覚えていない"のは嘘になりえないのです。

「記憶にございません」を実生活で使わないために

自分の立場を有利にするために使われる「記憶にございません」ですが、実生活で使うのはなるべく避けたいですよね。なぜなら、人は「覚えていません」と言われると、「本当は知っているくせに、嘘をついている!」とついつい疑ってしまうものだからです。TVで政治家などが「記憶にございません」と回答するのを見て、「本当に覚えていないのだろう」と感じる方はほとんどいないでしょう。人間の記憶力は加齢とともに低下してゆく傾向にありますが、実生活で「覚えていません」と言わないで済むように、トレーニングで記憶力を鍛えておきたいですね。なんでもしっかり覚えておけることは、あなた自身の信用にも関わる問題なのです。

現在では誰もが一度は耳にしたことのある「記憶にございません」は、アメリカが発祥の言い回しでした。実生活で「記憶にございません」を使わずに済むように、記憶力を鍛えるトレーニングを積んでおきたいですね。

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