記憶のスイッチをいれる方法

誰もがリンゴを見たことがあるでしょう。半分に切ったときにそこに種があることも知っています。では、種の細く尖った先は、どちらを向いているでしょうか? 茎のついている上の方か、逆に下の方かどちらでしょう? 多くの人がちゃんと覚えてはいないものです。何度も見たことのあるものであっても、興味がないことは記憶に残りません。

自然界で不変なことのほとんどは、人間には気づかれないことが多いのです。膨大な情報に日々接していても、すべてを覚えてはいられないことがあるということに、記憶術のヒントがあります。

文字情報よりも映像情報の方が覚えやすい

こんな実験結果があります。被験者たちに2500枚の顔写真を1枚10秒ずつ見せて、その後、それぞれを別の写真とセットにして、2500組の写真を見せ、どちらを見たことがあるかと尋ねました。その結果、約90%の正解率があったのです。人間は写真を見て覚える能力は非常に高いと言えるでしょう。

記憶は映像を扱うのが得意です。相手の顔が見えない状況で話していても、相手の顔を想像しながら話をすることはよくあります。電話の向こうで笑っている顔、しかめっ面をしている顔。短歌や俳句、詩をよむときにも、不思議と映像を浮かべます。「古池や蛙飛び込む水の音」と聞いて、なにもイメージしない人はいないでしょう。そのイメージ力によって、短歌や俳句は芸術になっているのです。メーカーが商品のパッケージにこだわるのも、客の心に残りやすいからです。

幼稚園児に「九」「鳥」「鳩」という漢字を見せてどれが一番覚えやすいかをテストすると、「鳩」の正解率が一番高くなるそうです。普通に考えると一番簡単な「九」の正解率が高そうですが、かえって一番低くなります。九や鳥は数字や生物の大分類という概念的なものであるのに対し、「鳩」は具体的でイメージがしやすいからのようです。

ストーリー性のあるもの、感情に訴えるものは覚えやすい

わたしたちは読んだことのある小説や観たことのある映画のストーリーをいとも簡単に語ることができます。物語化されたものは記憶に残りやすいからです。また、テーブルの上にビー玉をバラバラにおいて数えようとすると、ひとつずつ数えなければなりませんので、時間がかかりますが、これを2~3個ずつ程度のグループにすると、あっという間に数えることができます。人はグループ化すると全体把握がしやすくなります。

一般的には難しい熟語は覚えにくいものですが、「飢餓」のようなものは比較的容易に覚えられます。飢餓という言葉のイメージが心に突き刺さるからです。こうした感情をゆさぶるタイプのものは記憶しやすいという特性もあります。困惑、恐怖、悲しみ、喜びなどといった感情と記憶対象を結びつけることによって記憶力を高めることができるのです。

人は文字情報よりも映像の方が覚えやすいものです。また、ストーリー性のあるもの感情に訴えるものの方が覚えやすいものです。こうした特性を記憶術に生かせば、効率的に記憶することができます。

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