「ワーキングメモリ」によるド忘れについて

ふとした時に名前が出てこなくなったり、あるいは重要な用事の存在を忘れてしまったりするド忘れ。ド忘れを起こすとついつい自分の記憶力の低さをなげいたり、自分の脳を責めたりしてしまいがちですが、実はド忘れが起きる原因は記憶力の低さなどではありません。
そもそも人の脳は物事を忘れやすいようにできていて、あまりにもたくさんの情報を詰め込みすぎると抜け落ちてしまうようになっているのです。脳に詰め込める情報量には限度があり、記憶術などによって情報をうまく引き出せるようになっても、詰め込める最大量は変わりません。
こういった点を踏まえつつ、うまく脳のしくみを利用することで、ド忘れの数を減らすことが可能です。

なぜド忘れが起こるのか?

ド忘れの原因は脳の「ワーキングメモリ」にあります。これは言うなればちょっとしたことを書き留めておくメモ帳のようなもので、記憶を長期的ではなく一時的に保存するためのスペースです。
ワーキングメモリはとにかく活発に動作するようになっており、文章の読解や会話などにおいてもワーキングメモリは動作しています。たとえば会話をする時に、相手が発した言葉を覚えていなければ返事をすることはできません。この「相手が発した言葉」を覚えているのがワーキングメモリです。文章の読解についても同様で、今読んでいる文章の意味を汲み取るために、少し前の文章を覚えていてくれているのもまたワーキングメモリなのです。
ワーキングメモリがあるおかげで人は様々な短期記憶を保持して活動できるのですが、しかしワーキングメモリにも難点があります。それはあまり記憶できる量が大きくなく、新しい情報が入ってくるとすぐに古い情報が失われてしまうこと。ちなみにワーキングメモリに保存しておける情報量は5個ぐらいだと言われています。
ド忘れが起こるのは、その記憶が長期記憶ではなく、ワーキングメモリへと一時的に記憶された短期記憶だからです。新しい情報や刺激によって一時的な記憶が押し出されてしまい、結果としてド忘れしてしまうのです。

ド忘れを防ぐにはどうしたら良いか?

ワーキングメモリを鍛えることで記憶できる最大量を増やし、ド忘れをなくす……と言いたいところですが、今現在、ワーキングメモリを有効に鍛えられる手段は見つかっていません。
そのため、ワーキングメモリの仕様はもうどうしようもないものとして受け入れて、別方面のアプローチでド忘れ対策をするべきでしょう。
ド忘れ対策として有効なのは、シンプルにメモをとることです。メモをとっておけば忘れそうになった時に見返して思い出すこともできますし、何よりメモをとる行為を通じて、その情報をワーキングメモリではなく別の部位へと記憶させることができます。
この方法ではどうでもいい記憶をポカンと忘れてしまうようなド忘れを防ぐことはできませんが、どうせそれらは忘れても大した被害はありません。しかしド忘れしてしまうと悪影響が出るような重要なものごとは積極的にメモをとり、メモと記憶の二段構えでド忘れ対策をしておくべきでしょう。
人の脳は非常に優れた器官ですが、万能ではありません。脳の落ち度や構造上の欠陥は自分の工夫でサポートしてあげるように心がけましょう。

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